ここで、労使協定方式の内容を確認してみましょう。労使協定方式では、以下の内容が求められています。
1 一般労働者の平均的賃金の額と同額以上。賞与・退職金相当分も支払う。
2 職務の内容、成果、意欲、能力又は経験等の向上に応じ賃金を改善する。
3 職務の内容、成果、意欲、能力又は経験等を公正に評価し賃金決定する。
4 派遣先で行う教育訓練・福利厚生と賃金以外は派遣元の正社員と均衡確保。
5.段階的・計画的な教育訓練を行う。
言い換えれば、賃金は一般の労働者平均以上、賞与も退職金も支払う。 計画的に教育訓練を行い、公正に評価し昇給もさせなければならない制度です。
お気づきと思いますが、これは、派遣労働者を正社員と同等に扱うことに他なりません。労使協定方式は派遣労働者を正社員として扱うというものです。ですから、労使協定方式を取りたいという労働者派遣事業者様は原則的に派遣労働者を自社の正社員として雇用するという認識をもっていただく必要があると思っています。
労使協定方式は、従来の特定労働者派遣のような派遣元が期間の定めのない雇用で使用する派遣労働者に適したものと考えられます。
一方で、登録型派遣のような一般の派遣労働者の場合は、派遣先均等均衡方式の方が適合すると思われます。
派遣先均等均衡方式は難しいと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。一度均衡状態を定めれば、派遣先の対象労働者の待遇が大きく変更されたり、派遣労働者の職務や人材活用に大きな変化がない限り変わりません。
また、労使協定方式と異なり幅があります。不合理な格差か否かは、究極的には裁判所が判断するしかありません。「不合理な格差があってはならない」ということは、「合理的でなければならない」ということではありません。一定の幅が許容されるということです。
さらに、派遣先とバランスが取れた待遇であれば、派遣先に費用負担を求めることも理解を得やすいでしょう。
ただし、均等待遇対象者がいる場合は、早急に派遣先と協議して対応する必要があります。
以上のような考え方が原則になりますが、派遣元、派遣先の状況や派遣労働者が従事する職務によっても対応は変わります。
2020年4月1日をまたぐ労働者派遣契約も同日から適用されます。
派遣料金の変更交渉が必要ならば事前に派遣先と協議しなければなりません。
2020年6月の事業報告においても報告しなければなりません。
待遇決定方式はインターネット等で関係者に情報提供しなければなりません。
どうしたら良いか分からない。何から手を付けたらよいか分からないという派遣事業者様はお早目にご相談ください。

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